ブルックリンの空をゆく旅客機 | ||
私はこのごろ年取ったので、昔のことをいろいろ思い出すことが多い。こ のところのアメリカのメディアはトヨタがビッグスリーを追い越して世界の ナンバーワンになるという記事が目立つ。アメリカの自動車産業はアメリカ の富を牽引する代表的産業だったのだから、衝撃も大きいわけだ。地下鉄の 駅でアメリカ人の若者が日本語のカーマガジンを見ていたので驚いたのはも う7〜8年も前のことだと思う。辞書を引くと、燃費効率を高め、環境に優 しいハイブリッド・カーのマスプロダクションを1997年にトヨタが開始、 ホンダ、日産がそれに続き、大量生産システムの開祖アメリカのフォードは 2004年になってやっと開始、とある。これってまあ、マネだったわけだから 落ち目になるのは目に見えていた。 ところで飛行機の老躯化による事故そのほか旅客機の話題には無関心でい られないが、ほとんどが独占的にアメリカの企業が作っている。もし日本や ドイツの企業が作っていたら、今頃は自動車産業と同じく、アメリカの航空 機産業は斜陽になっていたのではないだろうか? 日本の航空機産業は戦後アメリカによって禁止されたといったら、年配の アメリカ人が笑い出した。勝ったからといって他国の特定の産業を廃止させ てしまうのは暴虐としかいいようがない。今だって原子力の利用を目指すイ ランを脅迫しているのがアメリカだ。この前テレビでイギリスのニュートン をやっていたので、興味を感じてイタリアのガリレオから、アメリカのエジ ソンやライト兄弟を辞書で引いてみた。電灯、電話のみならず、飛行機もア メリカが実用化した。改めて感慨を覚えるのは、いまだにアメリカの美術界 がコンセプト優先だということである。優先どころか手でする仕事などは歯 牙にも掛けない。この国はもうこのパターンから永久に出られない。凄い業 績を持ちすぎているのだ。 そこで思い出したのが、自分の人生。私の父は戦時中、川崎航空機という 会社に勤めていたのだ。それで戦後の住宅難の時代に社宅には入れたけど、 戦勝国アメリカの命令で航空機産業が廃絶されてしまったので、仕事を見つ けることがほとんど不可能だった焦土で、父は行商をして一家の露命を繋い だ。 私の一族は、年上のいとこが一人カミカゼ特攻隊員で死んだ他は、二人の 伯母が神戸で焼け出されたくらいで、兵隊に行った他の二人のいとこも無事戻ってきたし、被害は少なかったと思っていた。 とんでもないね。直接の被災では無かったけど、自分がひどい目にあって いた。重いハンディを背負わされた。今だって僅差で選んだ大統領のせいで、 イスラムの人々が塗炭の苦しみを受けている。イラクでは70パーセントの 小学生が学校に来ないという。戦争で殺され、家が焼かれるだけが被害では ない。無力な子供が一番の被害者だ。アメリカというのは悪の帝国だと思わ れても仕方がないね。 くそアメリカ!! いま、私はその国に住んでいるのだが。 |
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●<その1>ブルックリン、プロスペクト・プレースへ ●<その2>YMCAへ ●<その3>ハローウィンへ ●<その4>午前3時のサブウエイへ ●<その5>クリスマス・パーティへ ●<その6>ドイツを旅した(1)へ ●<その7>P.S.1「大ニューヨーク」展/2000へ ●<その8>ワールドトレードセンター崩壊 ●<その9>楽しい、しかし暑い、ブルックリンの夏 ●<その10>グリーン・マーケット 3月10日土曜日、晴れ、 ●<その11>ゴッド・ブレス・アメリカ(神はアメリカを祝福したまう) |
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